以前にTSMCの事を書いたので
今日は他の台湾半導体企業について
きわめて簡単かつシンプルに書いてみます。
前工程と後工程
半導体チップ製造は大きく分けて
前工程と後工程で構成されている。
誤解を恐れず極めて簡単にケーキ作りに例えると
以下のようになります。
前工程は台湾では主にTSMCがおこなっています。
前工程
スポンジを薄く切る
↓
スポンジにクリームを塗る
↓
ホイップクリームでデコレーション
↓
フルーツの下準備
↓
フルーツをデコレーション
とここまでが前工程となる。
ちなみに前工程で使用する装置は
1台で数百億するようなものもあり
工程が複雑な分、製造装置も高価になる。
対して後工程は
ケーキをカットする
↓
ケーキの周囲にフィルムを巻き付ける
↓
箱に詰める
とここまでが後工程のお仕事。
後工程の製造装置は
前工程に比べて安価ではあるが
それでも億を超えるような高額のものもある。
台湾は後工程を担当する企業が多い
高雄や桃園の中歴にお住まいの方は
みたことがあるでしょうか?
太陽のマークの企業ASEグループ
彼らは後工程を担当している。
ASEグループ以外にも新竹や台中、台南、高雄
台湾全土に後工程を担当する企業は存在する。
(ネットで検索すると出て来ますので興味のある方はぜひ)
特に新竹は台湾のシリコンバレーと言われており
TSMCをはじめ有名企業が集結している。
後工程の彼らを総称してOSAT(オーサット)と呼ぶ
OSATは
Outsourced Semiconductor Assembly & Testの略称で
一般的には回路が形成されたウェハーを
パッケージングしテストを行っている。
メモリーを主力製品にしていたり
LEDを主力製品にしていたりと
OSAT各企業によって加工している製品が違う。
後工程も難しい
カットしてパッケージングするなんて簡単じゃない
と思われそうだが実はなかなか奥深い。
またケーキで例えますが
①各ピース同じサイズに切る
②ケーキをナイフで切るときの速度は一定
③クリームのはみだしは〇ミリ以下
④スポンジの断面はなめらかであること
⑤スポンジの厚みはどこも同であること
⑥各ピースのフルーツの量と種類は同じであること
などの細かいルールが多数あり
それをナノレベルで達成しないといけないのだ。
難易度としては前工程の方がハイレベルだが
後工程でも厳格な精度を要求される。
さらに彼らOSATも
良品を買い取ってもらわなければ収入を得られない。
1時間に何枚のウェハーを加工できるのか
良品率は何%なのかというところも非常に重要になる。
つまりファウンドリーと同じで
すぐれた量産技術やプロセス開発がここでも必要になるのだ。
台湾の強み
TSMCの創業者モーリス・チャン氏も言っていたが
アメリカはチップの回路設計者が多く
すすんで製造側に行く人材が少ない。
しかも人件費が高い。
優秀な人材を多く確保するのが困難なのだ。
アメリカがぱっと見大金の補助金を出して
台湾企業をアメリカへ誘致したとて
長い目に見ればそれはあまり意味がないのだ。
対して台湾ではすすんで製造側へ行く人材が多く
アメリカと比べると人件費も安い。
ある意味コスパのいい優秀な人材が多数いる
というのが大きな強みである。
ファウンドリーの王者TSMCは言わずもがなであるが
OSATも同じことが言える。
まとめ
半導体が有名だということはぼんやり知っていても
その詳細を知っている方というのは
あまり多くないように思います。
(業界の方ぐらいじゃないだろうか?)
この記事を通して
あぁ半導体ってこんなことやっているんだ
ということが少しでも伝われば
そして
地政学的にも台湾は今微妙な立ち位置にあるという事が
うまく伝わっていたら幸いです。