今日は
台湾に来たばかりの頃(2012年)のお話を書きます。
ビザというものについて
初めて考えさせられたエピソードです。
それまでの私は
ビザの知識が乏しくまた興味もなかったのです。
※ご注意※
この記事は決して
国際結婚を否定するものではありません。
誤解なさらないようにお願いします。
離婚したら即帰国!?
わたしが台湾に来て2か月ぐらい経った頃。
日本ガールのルームメイトSちゃんと暮らし始め
不衛生な環境ともおさらばし
徐々に生活が成り立ってきた頃。
語学学校で知り合った日本人男子から
ボーリング行こう!とお誘いがあり
Sちゃんと一緒に出掛けることにした。
ネットで知り合った日本ガールズが2人来るとかなんとか…
わたしたちが呼ばれるぐらいだから
特に怪しい集まりでもなかろう。
でもこのなんでもないお誘いが
後にビザについて考えさせられる事となったのだ。
やってきた女の子のうち一人がMちゃんだった。
美人で中国語も上手だし
夜市でのオーダーもスムーズだ。
タピオカミルクティー1杯買うのですら四苦八苦していた当時の私とは段違い。
貿易会社の営業としてバリバリ仕事もしている。
この人に足りない物あるの?
ってぐらい充実した台湾生活を送るMちゃん。
クライアントさんから時折かかって来る電話にも
詰まることなく流ちょうな中国語で答えていく。
わたしが憧れる台湾で暮らす日本人女性を具現化したのがMちゃんだった。
この日を境に
わたしたちは女の子だけで会う機会が何度かあった。(ごめんよ日本男子)
クリスマスイブも一緒に過ごし
4人でケーキを食べた。
でもMちゃんと会ったのはそれが最後になった。
後から聞いた話
実はMちゃんは台湾人男性と結婚しており
しかも離婚を切り出されていて
離婚成立から1か月以内に出国しなければならなかったのだ。(居留証の期限だったのかな?)
実は結婚してたの?
色々カオスな状況である。
ただ、
強烈にインプットされたのは
離婚すると台湾から追い出されるんだって事。
外国人なんだから当然と言えば当然だが
当時の私には非常に衝撃的であった。
外国人とビザ
海外で暮らすためにはビザは必要不可欠。
台湾だけに限らず
外国人の身分で暮らしていくうえで世界各国で必要。
就労ビザ 就学ビザ 配偶者ビザ
などあまたの種類のビザが存在する。
どのビザを手に入れようにも
それなりの努力が必要なのは間違いない。
わたしはと言いますとこんな感じです。
就学ビザ➡就労ビザ➡永住権取得
永住権についてまじめに考えてこなかった私は
トマトさんとの出会いで考えが一変した。
トマトさんの話を聞いた次の日には
永住権取得済の先輩方のブログを熟読し始め
1か月ほどで必要書類をそろえ永住権を取得した。
私から言わせれば
配偶者ビザは人類史上最強の難易度である。
人間関係及び愛情という限りなく正解のないもののうえに成り立っているビザ。
恋愛とかさっぱりわからん私からすると
砂の上に建ってる家というか蜃気楼レベルだ。
義両親義兄弟、親戚にメンツ問題。
すべてを覚悟した勇者こそが手にできる
難易度ウルトラCの配偶者ビザ。
配偶者ビザ取得後も
結婚生活を維持させるための努力とコミュ力が必要となる。
やはり難易度ウルトラCで間違いない。
今なら少しはビザのことがわかるので
Mちゃんの当時の状況はこうだったんだろうな?
とうっすら想像がつく
きっとこんな感じだったのだろう。
①永住権は保持していなかった。
②就労ビザではなく、配偶者ビザ保持者として働いていた。
③だから離婚が成立したら出国しなければいけなかった
②は台湾にある多くの企業が
すでに配偶者ビザなり永住権なりを持っている人を
採用条件にしている場合がある。
企業からしたら
簡単に日本へ帰国しない人材を確保したいし
なおかつ就労ビザの申請も省ける。
そうなると
すでに何らかのビザを持っている人材を求めるのは至極全うである。
③は企業側が就労ビザへの切り替えを拒否したのか
Mちゃんにその意思がなかったのかは定かではない。
いずれにしても
永住権非保持で配偶者ビザで台湾に住んでいた場合
離婚後も台湾での生活を望むのであれば
就学ビザや就労ビザなどに切り替える必要がある。
離婚後から永住権を取得しようとすると
ハードルがぐっとあがる(らしい)
財産がいくら以上ないといけないなど
金銭面でのハードルが上がる(らしい)
お子さんがいる家庭は更に大変
知り合いの日本人男性は
離婚になると面倒なことになるので
配偶者ビザはあえて取得せず
結婚前から保持していた就労ビザで5年勤務してから
永住ビザに切り替えたと言っていた。
万が一離婚などになったときに
子供に会えなくなる場合も考えてのことだったそう。
離婚の心配なんて全くなさそうなファミリーだが
万が一の事を考えてそうしたらしい
Sちゃんの同僚の日本人女性は
日本で出会った台湾の殿方と結婚し
しばらくして台湾南部へ移り住んだ。
義両親との同居ストレスや
ママ大好きな殿方とうまくいかなくなり離婚。
子供を連れて日本へ帰ることを望んだがそれは叶わず
台湾の家庭裁判所が出した結論は
子供は父親が引き取る。
定期的に子供に会うためには台湾に留まるほかなく
日本語教師の仕事を見つけ就労ビザを取得して台湾で暮らしている。
わたしの身の回りでは
父親側が子供を引き取るケースが多い。
奥さんに暴力をふるっていようとも
父親が引き取る納得のいかないケースもある。
特に日本人女性は、専業主婦の場合が多く
そうなると経済的な理由で
どうしても父親に養育権等がいってしまうのだと聞いたことがある。
台湾は日本と違い
子供は母親が引き取るのが主流
というような風潮はなく
愛ちゃんのように揉める事例は珍しくないらしい。
何かと愛ちゃんを責め立て
おもしろおかしく書き立てる風潮があるが
わたし個人的には
愛ちゃんを責める気にはどうしてもなれないのだ。
ルームメイトSちゃん熱弁
お話は戻って再び2012年。
Mちゃんが帰国することを聞いた私とSちゃんは
地味にショックを受けていた。
台湾に来たばかりなのにパンチがきいている。
当時の私たちは寝る前に
ちょっとした事を議論をすることがあったのだが
この日のお題はビザだった。
就学ビザや就労ビザもそれなりに大変だし
結果を出さなければいけないが
本人の努力が及ぶ範囲が非常に大きい。
かたや配偶者ビザは
自分の裁量ではどうしようもできないこともある。
夫や義両親や義兄弟、親戚など
自分の力では変えられないことが多々あるのだ。
そこに文化の違いやら何やらも加わり
相当の柔軟性とコミュ力がないと難しい。
うちら(私とSちゃん)のコミュ力では
どう頑張っても無理だわ…
という結果に落ち着いた。
議論するまでもなかったわけなんだけど。
ルームメイトのSちゃんは
中学から大学まで女子校育ちという環境と大学の専攻も相まって、女性の権利と生き方なんかに熱く語る傾向がある。
だが、そんなSちゃんでなくとも
それおかしくない!?って思ったのは
Mちゃんが離婚を切り出された理由である。
赤ちゃんを授からないことが理由だと聞いた。
その理由は何も女性側だけではないのに
理不尽の極みである。
だが
台湾ではこういう認識の人々は男女問わず多い。
年配の方ほどこういうロジックになる傾向が強い。
台湾人のお友達も
旦那さんの実家へ帰るのが苦痛だと言う。
帰れば子供はまだか?と聞かれ
なぜか親戚の叔父さんから
検査しろと責められるのだそうだ。
旦那さんは彼女をかばうこともせず
メンツをつぶすとおじさんに悪いからと
ヘラヘラ笑ってやり過ごしているという。
ここでも台湾名物メンツがお出ましになるのだ。
気を配るベクトルが
恐ろしく間違った方向を向いている。
オードリーさんが有名になり
IT先進国のように言われているが
実際のところ台湾と言う国はこの点において
まだまだ古くさい考えと
偏見に満ちているといっても過言ではない。
後日談
Mちゃんは日本へ帰国し
職場で出会った日本人男性と再婚した。
あっと言う間に赤ちゃんを授かり
今は2児の母になり幸せに暮らしていると聞いている。
Sちゃんは
日本語教師として台湾南部の都市に赴任することとなった。
南へ行くほど伝統的な考え方が色濃くなる台湾。
日々目の前で繰り広げられる嫁姑バトル。
ここで大いに台湾社会における女性の幸せとは?
というものを考えることとなったのである。